2024年6月19日水曜日

令和6年度 教員研修履修証明プログラムのご案内

 


「ブレンディッド・ラーニング」とは、オンデマンド受講(収録映像の視聴+SNS等による交流を含む)+オンライン交流+対面指導を組み合わせて実施する受講形態です。先生方を対象に、教職大学院の講義を体験受講できる機会となります。

「1講座=90分」×5回 を基本として、オンデマンド(個人での映像視聴受講)・学内による対面講義(半日程度)・オンライン(リアルタイムでの遠隔交流)を組み合わせて実施します。

全校種、全役職(教諭以外に講師や管理職も含む)が受講対象者です。本年度(2024年度)は試行期間を継続しており、無料で受講できます。


開講期間:2024年 7月20日(土) ~ 2025年1月31日(金)まで


                            --- ■  開講科目の内容について---

子どものこころの声を“聴く”学校カウンセリング講座
<講師名>
中川 靖彦和歌山大学教職大学院・教授)

プロフィール>
京都府の中学校教諭、総合教育センター教育相談部指導主事等を経て、小学校長として勤務。今春より和歌山大学に着任。専門は生徒指導と学校カウンセリング。公認心理師・学校心理士SV。
講座概要
不登校児童生徒の急増、いじめの重大事態や暴力行為の低年齢化が深刻化する中、子ども達のこころの声を聴くことを大切にする支援の充実が求められています。本講座は、学校臨床の最前線に立ってきた大学教員と臨床心理士資格を有する現職校長が、児童生徒理解と支援方法等について臨床心理学の視点からわかりやすく解説するとともに、“聴く”ことをとおして、不登校をはじめとする子ども達への支援の在り方について体験的に学びます。

<協力講師>
小泉 隆平(近畿大学総合社会学部・教授)
奥澤 嘉久(京都府綾部市立豊里中学校・校長)
開講日程オンデマンド配信 第1講 7月22日(月)~配信開始          第2講 8月9日(金)~配信開始
オンライン講義  第3講 11月23日(土)13:30-15:00

対面講義 第4~5講 2025年1月13日(月・祝)10:00-13:10
受講対象 小学校・中学校・高等学校・特別支援学校 すべての教職員(SC、SSW含む)
申込期限2024年11月8日(金)まで

次世代教育の共創


<講師名>
山中 昭岳
(学校法人佐藤栄学園 教学本部教学推進課・課長)
(学校法人佐藤栄学園 さとえ学園小学校・科長)

プロフィール> 
県内公立校、内地留学、大学附属校、私立校(大阪)、 そして現職である埼玉県の私立校へ。すべての勤務地において、ビオトープをつくる環境教育と、28年前から1人1台端末を活用したICT教育を進めている。
講座概要
今、目の前にいる子どもたちは、Society5.0の世界で生きていきます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会、そんな社会を創っていく子どもたちへの教育とは・・・。
打ち出される様々な施策は、今までにない価値を生み出すための学びをつくるため。その具体をどう授業でデザインできるかを習得する講座となります。
開講日程5回の講義は、以下のような構成で行います。 

第1講 次世代教育でめざすものとは
第2講 環境教育(諸感覚を用いた原体験教育・ビオトープ)
第3講 ICT活用・情報教育(交流学習、情報活用能力育成)
第4講 思考力育成(思考スキル、思考ツール)
第5講 かつてない教育をつくる

●オンデマンド配信 第1~2講 8月より配信開始      
●オンライン講義 10月休日に予定

●対面講義 10月休日に予定  場所:和歌山大学
 (現在日程調整中のため、もうしばらくお待ちください)
受講対象小学校が中心だが、中・高等学校も可
申込期限2024年9月13日(金)まで


国語力を身に付ける授業を創る
 <講師名>
藤田 直子
和歌山大学教職大学院・非常勤講師)
(和歌山信愛大学教育学部・客員教授)

プロフィール> 
中学校教員を経て、特別支援教育、高校教育の教育行政等に携わる。その後、海南市内の小学校・幼稚園の校園長を歴任し、退職。2017年度には、本学システム工学部特任准教授として、教職に関する授業を担当し、高校教員育成のための業務を担う。今年度は、教職大学院で「言語感覚育成のための国語教材研究」等を担当している。
講座概要子どもたちが主体的に教材文に向き合う中で、確かな国語力を身に付ける国語科の授業を創りませんか。本講座では、小中学生の読解力を育成する指導の在り方の一つとして、「読解地図」で文章を楽しく探検しながら、「読むこと」に意欲的に取り組むことによって、俯瞰的な読解・深い読解に繋げる授業の内容や方法を紹介します。そして、実際に「読解地図」をかき、その学習効果を実感してもらいたいと考えています。さらに、そうした読解力を支える語彙力の育成についても、日常の指導の中でどのように取り組んでいくとよいか、一緒に考えていきたいと思います。

<協力講師>
大谷 真喜子(和歌山大学教職大学院・特任教授)
開講日程●オンライン講義  第1講 11月9日(土)13:30-15:00
●対面講義
第2~3講11月23日(土)13:30-16:40 場所:和歌山大学
第4~5講11月30日(土)9:00~12:10 
場所:和歌山大学
※11/30の実施時間ですが、講師の都合で午前中に変更になりました。
受講対象小学校・中学校で国語科を担当する教員
申込期限2024年11月1日(金)まで


国語科の授業づくり、はじめの一歩(「読むこと」編)
<講師名>
須佐 宏 (和歌山大学教職大学院・准教授)

プロフィール> 
田辺市や附属小学校で小学校教員として18年勤務。楽しくて力がつく国語科の授業づくりを目指してきた。その後、教育行政や教職大学院の初任者研修プログラム等で初任者の育成に関わり、令和5年度より現職。
講座概要「国語科の授業って何をどうやって指導すればいいのだろう?」「国語の授業ってどうすれば面白くなるのだろう?」そんな悩みを持たれている先生はいませんか?今回の講座では、特に初任~3年目ぐらいの先生方を対象に、国語科教科書の読み解き方から日々の授業づくりに役立つ指導事項確認のポイント、言語活動の選択についてなど、演習を交えながら学んでいただける講座を開設します。
開講日程●オンデマンド配信   第1講 7月20日(土)~配信開始
●対面&オンライン講義 第2~3講 7月27日(土)13:10~16:20(ハイブリッド開催のため、対面かオンラインのどちらかを選択)
●対面講義 第4~5講 7月28日(土)13:10~16:20  場所:和歌山大学
受講対象初任者~3年目ぐらいまでの小学校教員、国語科の授業づくりを基礎基本から学び直したい教員(中学校国語科教員の受講も可)
申込期限2024年7月19日(金)まで


社会科(歴史)授業力UP 講座
<講師名>
深澤 英雄
(和歌山大学教育学部・非常勤講師)

プロフィール> 
神戸市生まれ、神戸市内の中学校に1年、小学校に37年勤務し、和歌山大学教育学部教職大学院で特任教授を経て、現在非常勤講師。学力問題・授業研究・教師教育を実践研究しています。
講座概要今年度は教科書が新しくなりました。児童・生徒が「おもしろい」「もっと知りたい」と思える社会科(歴史)授業がしたいという先生方!「教材研究のコツ」「新しい教科書研究のコツ」「授業構成のコツ」「授業展開のコツ」をテーマに授業改善の手立てを考えます。オンデマンド・対面講義は毎年違う内容を実施しています。今年度は、日本文教出版P155の「伊能忠敬の地図づくり」とP158,159の「発達した都市と産業」の模擬授業を行います。
開講日程●オンライン講義  第1講 12月1日(日)13:10-14:40
●オンデマンド配信 第2~3講 12月2日(月)~配信開始
●対面講義  第4~5講 2025年1月12日(日)13:10-16:20
 
場所:和歌山大学
受講対象主に小学校教員ですが中学校社会科教員も歓迎です
申込期限2024年11月15日(金)まで


理科の授業づくり~先生も楽しもう~
<講師名>
山下 真司和歌山大学教職大学院・特任教授)

プロフィール>
平成元年度から16年間、小学校教諭として勤務。その後、平成17年度から6年間、和歌山県教育庁学校教育局小中学校課・学校人事課人事主事。平成23年度から13年間、小学校校長(内4年間中学校長を兼務)。
講座概要
理科の授業に苦手意識のある先生、児童が楽しいと思う授業がしたいと悩まれている先生。私も理科が専門ではありません。でも「理科って楽しいな」と子供たちに感じさせたいという思いで授業づくりに取り組んできました。難しい話はしません。実践をもとに、「教材研究」「授業構成・展開」のアイデアを提供したいと思います。
開講日程●オンデマンド配信 
第1講 8月1日(木)~配信開始
第2講 9月5日(木)~配信開始
第3講 10月10日(木)~配信開始
●対面講義   第4~5講 12月7日(土)9:10-12:20
受講対象 小学校教員
申込期限2024年11月22日(金)まで


あなたのネット利用は大丈夫?~SNSに潜む危険&知っておきたい得アプリ~
<講師名>
田中 いずみ(和歌山大学教職大学院・特任教授)

プロフィール>
県内公立小学校・和歌山大学教育学部付属小学校・和歌山県教育委員会・小学校長を経て現職。小学校では個が生きる社会科の教材開発をおこない、行政ではコミュニティスクール推進、家庭教育支援、読書活動推進等を担当。
講座概要
インターネットを気軽に利用すると情報漏洩やSNSの炎上によって、大きな被害を与えかねません。インターネットの中で起きている被害状況を知ることで自分や子供たちの身を守ることが大切です。この講座ではインターネット、とりわけSNS(アプリ)利用にはらむ危険について実際にスマートフォンを使いながら研修を行います。

<協力講師>
篠原 嘉一(NIT情報技術新進ネットワーク株式会社 代表)
開講日程第1講 インターネットトラブルの現状 LINE設定の確認
第2講 スマホやネット端末の設定確認(Instagram・TikTok等)
第3講 アプリの特性と有効活用(防災アプリ・子供学習アプリ等)
第4講 小学生・中学生・保護者向け情報モラル学習の要点
第5講 前回までの振り返りと質疑応答 

●オンデマンド配信 第1講 7月29日(月)~配信開始
●オンライン講義 第2講 8月8日(木)14:00-15:30
          第3講 8月22日木)14:00-15:30
         第4講 9月18日(水)14:00-15:30
●対面講義 第5講 9月28日(土)13:00-14:30 場所:和歌山大学
受講対象 教職員・教育関係者等どなたでも
申込期限2024年7月24日(水)まで


ワクワク高めるICTを活用した授業の工夫
<講師名>
矢野 充博(和歌山大学教育学部附属中学校・理科教諭)

プロフィール>
日々、ロイロノートや電子黒板、ARを活用した授業を行なっている。YouTubeで実験動画を中心に配信。Apple Distinguished Educators, Class of 2015、平成30年度文部科学大臣優秀教職員、第37回東書教育賞(優秀賞)など受賞。
講座概要
オンデマンドでは、ICTを活用する意義について解説します。
対面講義でみなさんとARやVR技術や3Dプリンターなどについての体験を通して、活用の可能性について議論します。
最後のオンラインでは、それぞれが考えてきたことを発表をしながら、今後のICTを活用する授業についてみなさんと交流しつつ、Google スライドを使ったオンラインならではの模擬授業をします。
開講日程第1講 ICTを使ったワクワクの授業づくり
第2~3講 ARとVRなどの体験、ロイロノートの授業実践の報告
第4講 ICT活用のアイデア交流 
第5講 Google スライドを活用したオンライン模擬授業

●オンデマンド講義 第1講 7月20日~配信開始
●対面講義 第2~3講 9月7日(土)9:00-12:00
 場所:和歌山大学教育学部附属中学校 1階理科室
●オンライン講義 第4講 9月28日(土)10:00-11:30
         第5講 10月5日(土)10:00-11:30  
受講対象 小学校・中学校・高等学校のICT活用に興味がある方
申込期限2024年8月30日(金)まで


「生成AI」の教育利用

<講師名>

豊田 充崇(和歌山大学教職大学院・教授)

プロフィール>
和歌山市で生まれ育ち県内中学校教諭を経て2002年度より和歌山大学教育学部に採用。専門は、教育工学・情報教育。ICT活用授業研究・情報モラル教育等。自ら「出前授業」を実施し「実践的研究」を生業としている。

<講師名>
 伊原 彰紀(和歌山大学システム工学部・准教授)

<プロフィール>
奈良先端科学技術大学院大学で博士(工学)を取得。カナダやアメリカでも客員研究員として活動し、2018年度に和歌山大学システム工学に着任。専門は、実践的ソフトウェア工学。最近はプログラム自動生成や自動修正の研究に興味を持つ。
講座概要
「生成AI」の登場によって教育の根本が代わりつつあります。しかしながら、そもそも生成AIとは一体何なのか?どういった仕組みなのか、本当に教育に役立つのか?生成AIの教育利用における期待、注意点など、先行する実践事例を元に検討していきたいと思います。対面では、実際に生成AIを使った対話や授業での活用場面を演習したり、ソフトウェア工学の専門家への質問もできます。
開講日程第1~2講   ・生成AIの教育動向について
                   ・そもそも生成AIとは何か?教育利用への期待は?
第3~4講 ・簡単なScratchによる画像認識
      ・機械学習のプログラムの実行
第5講   オンライン講義(zoom)での事後検討会

●オンデマンド配信 第1~2講 7月20日(土)~配信開始
●対面講義  第3~4講8月24日(土)13:10-16:20 場所:和歌山大学
●オンライン講義  第5講 11月中を予定
受講対象 全教員
申込期限
2024年8月15日(木)まで
※8/10~8/19は大学が一斉休業中のため、事務局は閉室します。そのため恐れ入りますが、申込返信は8/20以降になります。直前にお申込みされる方はご留意ください。

オンデマンド講座の概要(視聴のみの講座ですが講師へのQ&Aが可能です)



---■ 講座申し込み方法(個人でご登録ください)---


下記の二次元バーコードをスキャン、もしくは青字の『申し込みフォーム』の部分を押し、リンク先へお進みください。 



<申し込みフォームへ進めない場合>

電子メールでのお申込みも可能です。
以下のアドレス宛に必要事項を入力し、各講座の申込期日までにお申込みください。
※8/10~8/19は一斉休業中のため、事務局は閉室しております。
申込返信は8/20以降になりますので、直前にお申込みされる方はご注意ください。

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タイトル(件名):教員研修履修証明プログラム申し込み

本文:(記入必要事項)
「所属先・学校等」「役職名」
「氏名・ふりがな」「受講される講座名(複数選択可)」

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※受講講座が決まっていれば講座名もお書き下さい。決まっていなければ未定とお書きください。
※原則、平日であれば即日もしくは2日程度で確認の返信をさせていただきます。その後、受講希望科目等を記入いただきます。
※「docomo.ne.jp」「ezweb.ne.jp」「softbank.ne.jp」などのキャリアメール(ケータイ用メールアドレス)からのお申し込みはできません。PCもしくはスマートフォンで使えるアドレス(GmailやiCloudメールはじめ各種フリーメール等)でお申し込みください。
※迷惑メールを設定されている方は、「wbl(@マーク)ml.edu.wakayama-u.ac.jpのメールが受信できるように設定を変更してください。

---■ 受講前までに準備いただくもの---
インターネットに接続しているウェブカメラのついたパソコンが必要です。iPad 等のタブレット端末でも可能ですが、資料の参照等でPC を利用する場面もあります。
※受講者の皆様にはオンライン授業システム(moodle)にログインしていただく予定です。

2024年6月4日火曜日

小規模校における指導方法・特色ある実践研究事業

小規模校実践部門では、小規模・複式校における複式授業を中心に支援活動を行っています。小規模校における指導方法・特色ある実践研究事業として2024年5月の活動を報告します。
 
2024年5月21日(火) 場所:有田川町立小川小学校 
教員名:大谷 真喜子  
 


【研究授業】 4・5年生複式学級 算数科
      4年生「1けたでわるわり算の筆算」
      5年生「少数のかけ算」
【協議会】
  ①授業者(担任)との協議
  ②全体での協議
参観者は、小川小学校が研究をすすめるために重点としている3点について付箋に意見を書き、一人一人発表して交流した。

【3つの視点】
    ①学習課題(問題)を吟味する。
    ② 学び方を選択・調整させる。
    ③ 主体的な学習に向かわせる教師の手立て


  • 4・5年生は導入では自分たちで進めていくことができていた。昨年度や今年度の担任が指導してきた賜物。
  • デジタル教科書を活用し、主体的に学習する環境を整えられていた。
  • 4年生はノートに自分の考えを書き、ホワイトボードに書き直して、一人一人が自分のやり方を説明できていた。少人数なのでホワイトボードに書き直す必要があるかどうかは検討したいが、人に説明することで、確かな力となっていくと感じた。
  • 授業者のポジショニングがよく、同時間接では児童への対応が適切であった。
  • 本時の5年生のねらいの「工夫して計算することができる」までは到達しなかったことについて。単元が「小数のかけ算」であるため計算をさせながら確認したが、計算に時間がかかった。このような場合は、電卓を使用して時間短縮を図ることもいいのでは。「計算のきまり」が成り立つことやその良さに着目させるようにし、工夫して計算することに時間をかけるとよかったのではないか。
  • 子供たちは、「わからない」ことを授業者や友達に伝えることができていた。また、授業者がすぐに教えるのではなく、教科書にヒントが載っていることを伝え、子供にもう一度考えさせて自力で解決させたことが良かった。

〔その他大谷より〕
(1)授業担当者は研究主任であり、今年度の研究の方向を共有するためにも今年度授業研究第1回目に授業を提案された。このことにより、以下の2点の共通理解を再度図ることができた。
  1. 研究主題設定の理由、小川小学校が考えている研修主題「わかる・できる・のびる授業」について。
  2. 5年生で扱った「計算のきまり」については、低学年から中学校で学習する系統を把握して指導することの重要性。

(2)研究主題「わかる できる のびる授業づくり ~自らの学びの調整力を高める~」について
小川小学校が主題に迫るために掲げていること大谷がまとめた資料を活用して確認。本時のどこかで授業者が具体化を図っていたか、どんな工夫をしていたかを解説し、助言をおこなった。(主に下記の5点)
  1. 小川小学校の考える学びの調整力とは
  2. 既習事項の活用について
  3. 見通す力について 
  4. 自分の考えを伝えたり友達の考えと比べたりすることについて
  5. 発問の工夫について